将来の組織を支えるため、次代の管理職を育てる仕組みづくりへ

取締役社長室長 大谷富士子様
本社 総務部部長 川﨑正博様
リーマンショック後の採用控えで世代構成に歪み、次代を担う幹部候補の育成が課題に
- 導入のきっかけからお話しを伺わせてください。
- 大谷
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当社担当の木下さんが前職で事務局をされていたオンラインセミナーに私が参加したことがきっかけです。その後、木下さんが現職になられてから、当社を訪ねてくれました。2022年9月のことです。
その時は社員研修の話ではなく、「グッドモチベーションアンケート」のお試しのご紹介でした。幹部と幹部候補ぐらいの年代の社員たちに、仕事に対するアンケートを取り、それをもとにリーダー研修をしてみませんか、というようなお話でした。当社もかつては社内研修を行なっていたのですが、新入社員の減少等の理由もあり、外部研修に参加させることはあっても、独自の研修はほとんどやらなくなっていました。
しかし、その必要性はずっと言われていたのです。そのタイミングでの木下さんの来訪でした。 - 必要性を感じられていたというのは、具体的にどのような課題があったからなのですか。御社では、「ハッピーメーカー HAPPY MAKER」をスローガンに、年商100億円、創業100年企業を目指していらっしゃいます。そうしたことと関係してくるのでしょうか。
- 大谷
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これから管理者になっていく人たちのための、部下育成の知識や技量を体系的に学べる機会がない、ということが課題でした。会社組織の将来的なことを考えると、これは大変な課題です。
当社に限ったことではありませんが、これから社内はどんどん高齢化していきます。次代を担う40代、50代への研修をどうするか、喫緊の課題だと木下さんと話したと思います。 - 川﨑
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「ハッピーメーカー」というスローガンには、私たちのものづくりを通して、関係する方々の幸せを創造していくという思いが込められています。それを実現していくには、会社がしっかり成長していかなければなりません。それには、やはり人材は欠かせないということです。
どこの企業も同じだと思いますが、リーマンショックでどうしても採用を絞らざるを得ない時期がありました。そのため従業員の構成が今の50代ぐらい以降、少なくなってしまっています。この世代の皆さんにとっては、ずっと下が入ってこないまま40代、50代になり、いざ管理職の肩書きがついたけれど、これまでと変わらない、という気持ちもあると思います。
これでは将来、組織としてうまく機能していかない部分があるのではないか、という危機感が生じました。そうした中で社内研修を改めて組み立てなければいけない、と。
新人研修など外部の機関を使った研修はスポット的に活用してきましたが、会社として、会社のビジョンに即したものを作らなければと思い、木下さんとディスカッションさせてもらいながら、またいろいろな情報をいただきながら、研修のメニューや内容、時期を決めてきているという状況です。
適切な「1on1」の手法を身につける独自の「評価者研修」を整え、正当な評価、目標達成につながる効果的助言を可能にする
- 大谷
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はじめに「人材戦略の方向性と課題についてのワークショップ」を行い、木下さんとの1対1のリモートコーチング、管理者のためのマネジメント研修と進んでいきました。
そして、当社にはもともと独自の評価制度があるのですが、研修はこの評価制度をうまく機能させるためのものへと移っていきました。
理想では上司と部下が1対1で定期的に面談を行う「1on1」を全社員にしてもらい、そのフォローを工場長が行なって、一人一人、あるいは部署部署の目標に向かい、どう進んでいったらいいか、具体的かつ効果的にアドバイスできるようになってもらいたいと思います。
もちろん、これまでも上司から部下へのヒアリングはやっていましたが、定期的に年に1回、2回と決まった時期に1対1でいろいろな話をするということは、あまり実施できていませんでした。
それをいきなり、「はい、上司さん、やってください、管理職やってください」というのは、なかなか難しい。そもそも「1on1とはこういうものです」という研修も必要でした。そこで木下さんに相談し、必要な研修内容を組んでもらい、「工場長対象の1on1研修」を経て、2024年から「評価者研修」を始め、今に至ります。
また、一般社員の皆さんに向けた「目標設定・目標達成研修」も同時期に始めました。目標はこのように立てて、このように目指す、ということを学びます。
評価者研修も目標設定研修も毎年やりますので、半分くらいは内容が同じになるかも知れません。同じならやらなくてもいいのではないかと思うかも知れませんが、私たちを取り巻く環境の変化に合わせてブラッシュアップしていきますし、何よりも「繰り返す」ことで、意識を定着させたいと思っています。
「すごい、こんな研修ははじめてだ」、「やったことがないので嬉しい」プロに任せたからこそ、社員の中にポジティブな受け止めが生じた
- 研修を始められて、実際に変化した点はどんなところですか。
- 川﨑
- 現在進行形ですので、まだ結果が出るには至っていませんが、やはり意識は変わってきていると思われます。
- 大谷
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最初の頃は、「どうしてこんなことをやらなければならいのか」というネガティブな反応の方が強かったように思います。
若い社員からは「目標って?何のために?そんなことを考えているヒマはない」という声もありましたし、評価者からも「一人ひとりをじっくりなんて、そんな余裕は・・・」という具合です。ところが、2024年の4月と10月に研修を行い、今年の4月にやった時にはもう、「はいはい。もう分かっています」という納得した感じでの参加に変わっていました。まだ100%の定着ではないにしても、去年よりは受け入れられ、意識も変わってきているように感じます。
- 研修に限らず、新しいものは反発されがちです。導入担当者であるお二人は心が折れることもあったのではないでしょうか。
- 大谷
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私たちより研修参加者の前で教壇に立つ木下さんこそ心が折れるのではと思いましたが、そこはプロですね。「すごい、こんな研修はじめてだ」、「やったことがないので嬉しい」との声も寄せられました。やはり、プロにお任せして良かったと思います。
最初のリーダー研修では、P・ドラッガーの著書を読んで所感を書いてきてください、という宿題が出ました。私自身も面白そうと思いましたが、リーダー研修の参加者は幹部や幹部候補でしたので、もともと研修に対して意識が高く、好意的に取り組んでもらえました。
木下さんの研修は、教壇に立つばかりではなく、「次までに工場長と1on1して来てください」とか、何か課題を設定し、「自分の部下、あるいは後輩と取り組んでください。そして、その感想を私(木下)とシェアしてください」などがありました。これらはまたやっても面白いかも知れないと思います。
- ユニークな研修内容で興味を惹きつけていますね。こうして長く研修を続けていくことで、幹部から若手社員まで意識が変わり、同じ目標、未来が見られるようになってくると、会社として強い組織になりますね。
- 川﨑
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そうですね。強い組織につながって欲しいです。
「ハッピーメーカー」というテーマもみんなが腹落ちし、具体的に考え、行動できるようになっていくことで、実現につながっていくと思います。
「メニューのない料理店」のように、課題を浮き彫りにし、それに合わせた研修メニューをオーダーメイドする
- 最後に木下さんへの要望はありますか。
- 大谷
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木下さんが来なかったら、今のような計画的な研修は難しかったと思います。研修というと、単発で終わってしまうことが多いでしょう。しかし、長い目で見て、全体を見通して研修の計画を立てることで、将来に成果を生める研修になっていくと思います。
通常、自治体の助成金などを使って研修会をやろうとすると、テーマを表した目次がずらっと並び、「この中から選んでください」という感じになります。それでぴったり合えばいいのですが、たいていは合いません。アレンジが必要です。
木下さんは、ヒアリングというより雑談の中から、当社の課題を吸い上げて、それに合ったメニュー、目次を組んでくれます。いわば、「目次のないバージョン」をやってくれているわけです。 - 川﨑
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そして、話を聞く、聞き出すのが上手い。営業マン特有のガツガツした感じはなく、さらっとしています。さらっと来て、さらっと聞いて、さらっと帰っていく飄々とした人です。時間も極めて短く、大変に助かります。
これからもブラッシュアップしてもらいながら、しっかりと定着させなければと思っています。一度は消えそうになりましたが、社内研修の文化、噛み砕くと、人材育成の文化とか、自己学習の文化といった「企業文化」を醸成し、再び確かな文化として根付かせたいと思います。
- 業会のみならず、この地域の中で、「人を育てるなら日東電気」というイメージになっていくのではないでしょうか。
- 大谷
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そうですね。若い人にそう思ってもらえると嬉しいです。
まずは新入社員を採用することが課題ですから、採用の際、「うちはこういう研修をやっています」と胸を張りたいと思います。 - しばしば「どこに出しても恥ずかしくない」という言葉が使われますが、地域の中で「日東電気グループに入れば、どこに出しても恥ずかしくない人物に成長できる」というイメージが定着する日も遠くないかも知れませんね。本日はありがとうございました。



